2026年最新版】ドローン撮影の許可取得・法令ガイド②

6. ドローン「特定飛行」の条件(承認が必要な空域・飛行方法)

航空法において、以下の「特定空域」での飛行には国土交通大臣の許可が、以下の「特定飛行方法」での飛行には承認が必要です。無許可・無承認の特定飛行は50万円以下の罰金の対象です。

許可が必要な空域

飛行の種類申請の要否主な注意点・要件
DID(人口集中地区)上空要・許可重量100g以上が対象。地理院地図等で最新のDID範囲を事前確認。
地表・水面から150m以上要・許可機体重量に関わらず許可が必要。空交管轄機関との事前調整が必要。
空港周辺の上空要・許可羽田・成田周辺等。制限表面にかかるエリアでは個別調整が必要。
緊急用務空域原則禁止消防・警察等の捜索救難活動が実施される空域。DIPS2.0で随時公示。

承認が必要な飛行方法

飛行方法申請の要否主な注意点・要件
夜間飛行(日没〜日出)要・承認灯火設備の装着、夜間10時間以上の訓練経験、離発着場の照明確保、目視内限定。
目視外飛行(FPV含む)要・承認補助者の配置、連絡体制の確保。FPVゴーグル使用時は原則「目視外」扱い。
人・物件から30m未満要・承認第三者や第三者の建物・車両から30m未満での飛行。立入禁止区画の設定。
催し物・イベント上空要・個別申請包括申請は不可。主催者承諾書、安全対策計画、立入禁止区画図等の提出必須。
危険物の輸送要・承認農薬散布、燃料、バッテリー等の輸送。機体構造や飛散防止措置の確認。
物件の投下要・承認水中・空中からの散布、ビラ配り、荷物の切り離し等。

※国家資格(無人航空機操縦士)および機体認証を取得している場合、立入管理措置を講じるカテゴリーⅡ飛行において、一部の個別申請手続きが免除(飛行計画通報のみ)される特例制度が用意されています。


7. 撮影当日までに確認すべき「出発前チェックリスト」

撮影当日、現地でのトラブルや不法飛行を防止するため、出発前に以下の項目を必ずチェックしてください。

  • 機体登録手続きが完了し、機体にJU番号が正しく表示されているか
  • DIPS2.0での飛行許可・承認書を取得済みか(特定飛行の場合)
  • DIPS2.0にて本日の飛行計画を通報済みか(特定飛行時は必須)
  • 飛行場所の土地・施設管理者(河川・港湾・国有林・公園等)の許可・届出が完了しているか
  • 多摩川の「土日祝不可」等、飛行場所ごとのローカルルールを確認・順守しているか
  • 道路上に機材等を置く場合、管轄警察署の道路使用許可証を取得・携行しているか
  • イベント上空撮影の場合、個別申請許可書および主催者の承諾書を準備しているか
  • 許可書、承認書、国有林入林届の写しなどの書類一式を現地へ携行しているか
  • ドローン賠償責任保険(対人・対物)に加入済みで、証券の写し等があるか
  • 地理院地図で飛行エリアがDID(人口集中地区)に該当するか確認済みか
  • 小型無人機等飛行禁止法の対象施設から周囲おおむね1,000m外であることを確認済みか
  • リモートID機能が正常に作動・電波発信しているか
  • 国有林等に入林する場合、クマ鈴・クマ撃退スプレー等の安全装備を携行しているか
  • 当日の気象情報(風速・降雨等)を確認し、飛行取りやめの安全基準を設定しているか

8. 法令順守・リスク管理・事故発生時の対応

8.1 電波法(FPV・5.8GHz帯)とプライバシー・肖像権

電波法(FPVゴーグル・映像伝送機器)

  • ドローン映像の伝送に5.8GHz帯の電波を使用する場合、航空法とは別に電波法に基づく資格および無線局の開局申請が必要です。
    • 個人・趣味目的:第四級アマチュア無線技士以上の資格 + アマチュア無線局の開局
    • 商業・営利目的:第三級陸上特殊無線技士以上の資格 + 陸上移動局の開局
  • 罰則と法人重科:無免許および未開局で5.8GHz帯電波を使用した場合、**1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は両罰規定により最高1億円の罰金)**が科されます。
  • 技適マークの有無:DJI製品等で一般的な2.4GHz帯の操縦用電波は、技適マーク(技術基準適合証明)があれば無線免許は不要です。技適マークのない海外製送受信機を使用すること自体が電波法違反となります。

プライバシー侵害・肖像権・個人情報保護

撮影画像・映像の取り扱いにおいて、以下の点に留意してください。

  • NG行為:住宅のベランダや庭などの私的空間の無断撮影、個人の顔や車のナンバープレートが識別できる状態でのSNS・Web公開、着替え等の露出が懸念される場所付近での撮影。
  • 防護対策:撮影エリアへ事前の立入禁止措置を実施する、公開前に顔やナンバープレートへぼかし(モザイク)処理を施す、近隣住民から撮影画像の削除請求があった場合は速やかに対応する。

8.2 インフラリスク・飛行中の禁止行為・リモートID・保険

重要インフラ周辺での安全リスク(電力設備・鉄道・ダム)

飛行中の禁止行為(航空法第132条の82)

以下の行為は許可・承認の有無に関わらず全面的に禁止されています(違反時は50万円以下の罰金)。

  1. アルコールや薬物を摂取した状態での飛行(操縦)
  2. 飛行前点検等の必要な準備を行わない状態での飛行
  3. 航空機や他のドローン等と衝突するおそれがある場合に回避させないこと
  4. 不必要な高音の発生や急接近など、他人に迷惑を及ぼす方法での飛行

リモートID搭載義務と損害賠償保険

100g以上のすべての無人航空機には、リモートIDの搭載・作動が義務付けられています。また、事故に備え補償額1億円以上の対人・対物賠償責任保険への加入が不可欠です。


8.3 主な違反と罰則一覧

ドローン運用に関連する主な法律の違反内容と罰則の一覧です。

該当法律違反・不法行為の内容定められている罰則
航空法飛行禁止空域(DID・150m以上等)の無許可飛行50万円以下の罰金
航空法飛行計画通報義務の違反30万円以下の罰金
航空法機体未登録での飛行1年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
航空法リモートID未放送(未搭載)での飛行50万円以下の罰金
航空法飲酒・アルコール摂取状態での飛行50万円以下の罰金
小型無人機等飛行禁止法重要施設のレッドゾーン(敷地内)上空を無許可飛行 / 命令違反1年以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金
小型無人機等飛行禁止法重要施設のイエローゾーン(周囲おおむね1,000m)上空を飛行6月以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金
電波法5.8GHz帯等の無免許使用・未開局運用(技適なし機体使用含む)1年以下の懲役 または 100万円以下の罰金<br>(法人は最高1億円の罰金)
道路交通法許可なく道路上に補助者・機材・看板を配置して使用3か月以下の懲役 または 5万円以下の罰金

※法人が業務に関して違反行為を行った場合、両罰規定により行為者本人だけでなく法人に対しても重い罰金刑が科されます。


8.4 事故発生時の緊急対応手順

万が一、ドローンの墜落、接触、第三者への損害事故が発生した場合は、以下の手順で直ちに対応を行ってください。

  1. 負傷者の救護と緊急通報(最優先)
    • 直ちに飛行を中止し、負傷者がいる場合は救急(119番)および警察(110番)へ通報。応急救護を行います。
  2. 現場の安全確保と保険会社への連絡
    • 二次災害を防ぐため現場を確保し、物件損壊の状況を写真等で記録。速やかに加入している損害保険会社へ連絡します。
  3. 国土交通省への事故報告義務(航空法第132条の90)
    • 人の死傷、航空機との接触・ニアミス、第三者物件の重大な損壊、機体の制御不能(ロスト・行方不明含む)が発生した場合は、DIPS2.0または書面にて国交省航空局へ速やかに報告しなければなりません。
    • ※報告を怠った場合や虚偽の報告をした場合、30万円以下の罰金が科されます。


10. まとめとプロへの撮影・申請代行依頼の案内

ドローン撮影を安全かつ合法的に成功させるためには、航空法のみならず、小型無人機等飛行禁止法、電波法、道路交通法、各種自治体条例、民法(土地所有権)など、多角的な法令の解釈と適切な申請手続きが求められます。

  • 2つの許可を必ず取得する(国交省のDIPS2.0申請 + 土地管理者の許可)
  • 2026年7月改正の重要施設周辺ルール(おおむね1,000m拡大)を遵守する
  • 申請スケジュールに余裕をもって準備を進める