ドローン飛行日誌「飛行記録」の正しい書き方完全ガイド

重要】特定飛行を行う際の法的義務と罰則 2022年12月の航空法改正により、特定飛行(DID上空、夜間、目視外、30m以内など)を行う操縦者には、飛行日誌の「作成・携行・保管」が義務付けられました。 飛行日誌を備えない、必要な事項を記載しない、あるいは虚偽の記載を行った場合、航空法第157条の11に基づき、10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。


1. 飛行日誌の作成義務と重要性

改正航空法の施行に伴い、無人航空機を飛行させる際は、その実績や点検整備の状況を記録する「飛行日誌」の運用が不可欠となりました。これは単なる形式的な事務作業ではなく、不安全事象が発生した際の原因特定や要因分析を行うための重要な法定書類です。許可・承認を必要とする「特定飛行」を行う場合は、記録の不備が即座に法令違反へと直結するため、専門的な知識に基づく正確な運用が求められます。

2. 飛行記録(様式1)の基本ルール

飛行日誌のうち、日々の運用の核となるのが「飛行記録(様式1)」です。記入にあたっては、以下の4つの前提条件を厳守してください。

  1. 機体ごとに作成すること:複数の機体を所有している場合、合算して記録することは認められません。必ず機体ごとに独立した日誌(ファイル)を準備し、その機体の履歴を時系列で追えるようにしてください。
  2. 「1飛行」の定義:原則として「電源ONから電源OFFまで」を1飛行と数えます。ただし、同じ場所・同じ目的で、バッテリー交換等のために一時的に電源を切って再開する場合は、一連の飛行としてまとめて記入することが可能です。
  3. 記入のタイミング:飛行終了後、遅滞なく記入してください。「後日まとめて記載する」といった運用は、記載漏れや虚偽記載のリスクを高めるため、現場での都度記録が推奨されます。
  4. 筆記具と記録形式:紙媒体で記録する場合、黒または青のボールペン(消せるペンは不可)を使用します。パソコンやタブレットによる電子記録(電磁的記録)も認められていますが、現場で即座に提示できる状態を確保する必要があります。

3. 飛行記録の各項目別の書き方と記入例

主要な記入項目について、国土交通省の取扱要領に準拠した具体的な書き方を解説します。

  • 無人航空機の登録記号 機体登録時に発行された「JU」から始まる番号を記入します。これは機体に表示されている番号と一致している必要があります。
  • 飛行させた者の氏名 操縦者のフルネームを記入します。無人航空機操縦者技能証明(国家資格)を保有している場合は、氏名に併せて「二等:0123-4567-8901-2345」のように技能証明書番号を必ず併記してください。
  • 飛行概要(目的・特定飛行の形態) 飛行目的は、以下のリストから該当するものを選択または記載します。
    • 【目的例】空撮、報道取材、警備、農林水産業、測量、環境調査、設備メンテナンス、インフラ点検・保守、資材管理、輸送・宅配、自然観測、事故・災害、趣味、研究開発、その他 また、特定飛行に該当する場合は、以下の形態から該当するものをすべて明記してください。
    • 【形態例】空港等周辺、150m以上、人口集中地区(DID)上空、夜間、目視外、30m接近、催し場所、危険物輸送、物件投下、緊急用務空域
  • 離着陸場所 離着陸地点の緯度経度(例:43°12’15.3″N 141°16’04.9″E)を記入するか、具体的な住所、あるいは正確な位置が特定できる固有名称(例:〇〇橋 北岸〇〇運動場)を記入します。
  • 離着陸時刻・飛行時間 日本標準時(JST)に基づき、24時間制かつ1分単位で記入します。飛行時間は離陸から着陸までの正味の時間とし、総飛行時間はその機体の累計積算時間を1分単位で算出して記入します。
  • 飛行の安全に影響のあった事項/記事 飛行中に不具合やヒヤリハットがあった場合に記入します。特に機体の故障や異常が発生した場合は、ここへの記載に加え、必ず点検整備記録(様式3)へ修理・処置の内容を記録し、安全確認を完結させる「コンプライアンス・ループ」を意識してください。不具合がない場合は「なし」と記入し、確認者が記名します。

4. よくある間違いと運用のアドバイス

操縦者が陥りやすいミスを防ぐためのセルフチェックリストです。飛行前に必ず確認してください。

  •  場所の記入精度は十分か:「〇〇市内」のような広範すぎる名称は不適切です。番地や緯度経度、施設名など、第三者が場所を特定できる粒度で記載されていますか?
  •  時刻の記載漏れはないか:飛行時間だけでなく、離陸・着陸それぞれの「時刻」が1分単位で記録されていますか?
  •  機体ごとに日誌を分けているか:複数機の記録を1冊にまとめていませんか?
  •  電子記録の携行・提示が可能か:現場に電波がない場合や、スマホの電池切れの際でも、即座に記録を提示できる準備がありますか?
  •  【紙媒体の場合】携行範囲は正しいか:飛行記録(様式1)は「直近の点検整備以降」の分だけで足りますが、点検整備記録(様式3)は「全期間分」を携行していますか?
  •  消せるペンを使用していないか:改ざん可能な筆記具は、法定書類として認められません。

5. まとめと便利なツール

飛行日誌の継続的な運用は、ドローン操縦者としてのプロフェッショナリズムと法的誠実さを証明する唯一の手段です。日々の記録負担を軽減するため、飛行管理アプリの活用や、国土交通省の様式に準拠したExcelテンプレートでの管理を推奨します。

特に電子化する場合、飛行計画の通報(DIPS 2.0)だけでは飛行日誌の代わりにならない点に注意してください。日誌は別途、自ら作成・管理する必要があります。

安全運航のための推奨事項 特定飛行に該当しない趣味のフライトであっても、将来の不慮の事態に備え、常に記録を残す習慣を身につけてください。正確な記録の積み重ねが、あなた自身の操縦スキルと機体の安全性を守る最強の盾となります。