ドローン飛行の「30mルール」を徹底解説!規制の内容から許可申請、緩和措置まで

1. はじめに:なぜドローン飛行で「30m」が重要なのか

ドローンを飛行させる際、航空法や国土交通省のガイドラインにおいて「30m」という数字は非常に重要な意味を持ちます。この数値は、安全確保のための「最低限保つべき距離」であると同時に、特定の条件下で規制が緩和される際の「基準」にもなっているからです。

ドローン法務に精通する行政書士の視点から、この記事では読者の皆様が以下の3つの主要な規制・緩和措置を完璧に理解できるよう解説します。

  1. 距離の確保:人や物件から30m以上の距離を保つ基本ルール
  2. 150m以上の例外:構造物から30m以内なら許可不要となる仕組み
  3. 係留飛行の緩和:30m以内の紐でつなぐことで得られるメリット

これらを正しく把握し、コンプライアンスを遵守した安全なフライトを目指しましょう。

2. 基本ルール:人または物件との間に30m以上の距離を保つ

航空法に基づき、ドローンを飛行させる際は「人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること」が義務付けられています。

もし、人や物件から30m未満の距離で飛行させる場合には「特定飛行」に該当し、あらかじめ国土交通省からの承認を得る必要があります。

ここで最も注意すべき点は、この「30m」は水平距離だけを指すのではないということです。ドローンと対象物を結ぶ「上空も含めた最短距離(斜め方向の直線距離)」で判断されます。たとえ水平方向に離れていても、高度との兼ね合いで斜めの距離が30mを切っていれば、承認が必要な「30m未満の飛行」とみなされます。

3. 「人」と「物件」の定義を正しく理解する

規制の対象となる「人」や「物件」の定義を正確に把握することは、意図しない法令違反を防ぐために不可欠です。

カテゴリ該当するもの(第三者のもの)該当しないもの
人(第三者)操縦に関係のない通行人、近隣住民、観客など操縦者、補助者、撮影スタッフ、出演者、エキストラ等の関係者
物件(工作物・車両等)ビル、住居、工場、自動車、鉄道車両、船舶、建設機械、電柱、電線、街灯、信号機、鉄塔、橋(陸橋)など土地(田畑、堤防、道路、線路など)、自然物(樹木、雑草、花、岩など)

専門家が教える注意点

  • 「道路」と「橋・車両」の違い:道路という「土地」自体は物件に含まれませんが、その上を走る「車両」や、道路の一部であっても川などをまたぐ「橋(陸橋)」は物件に該当します。橋の下をくぐる飛行や走行中の車への接近は30mルールに抵触します。
  • 電線・電柱:日本の道路沿いには網の目のように張り巡らされています。これらもすべて物件ですので、街中での飛行は事実上、承認なしでは不可能といえます。
  • 自宅の庭:自分の敷地内であっても、隣家の建物や電柱が30m以内にある場合は、承認がない限り飛行させることはできません。

4. 150m以上の空域における「30mの例外ルール」

原則として、地表または水面から150m以上の空域を飛行させることは航空機との衝突リスクがあるため禁止されており、個別の許可申請が必要です。しかし、国土交通省の「無人航空機の安全な飛行のためのガイドライン」には、利便性を考慮した例外規定があります。

高層ビルなどの構造物(物件)から30m以内の空域であれば、航空機が衝突する恐れが極めて低いため、150m以上の高さであっても「150m以上の空域飛行」の許可申請が不要(適用除外)となります。

本来、150m以上の飛行許可を得るためには、関係各所との調整や煩雑な個別申請の手続きが必要で、非常に手間がかかります。この例外ルールを活用できるメリットは大きいですが、以下の点には別途注意してください。

  • 人口集中地区(DID)であれば、DID飛行の許可は別途必要です。
  • 点検スタッフや構造物から30mの距離を確保できない場合は、別途「30m未満の飛行」の承認が必要です。

5. 係留飛行による規制緩和:30m以内の紐でつなぐメリット

十分な強度を持つ30m以内の紐(係留装置)でドローンを固定し、第三者の立ち入りを制限する「立入り管理措置」を講じることで、大幅な規制緩和が受けられます。

係留飛行で「許可・承認が不要」になる例

  • 人口集中地区(DID)での飛行
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件との距離が30m未満の飛行
  • 物件投下

依然として「許可・承認が必要」な例

  • 空港周辺での飛行
  • 150m以上の空域での飛行
  • イベント上空(催し場所)での飛行
  • 危険物輸送
  • 緊急用務空域での飛行(原則不可)

※重要:許可が不要になるケースであっても、飛行計画の通報飛行日誌の作成・備え付けは引き続き義務付けられています。これらを怠ると罰則の対象となるため、記録は徹底しましょう。

6. 30m未満で飛ばすための手続き:DIPSによる申請

実際に30m未満の距離で飛行させるためには、オンライン申請システム「DIPS(ドローン情報基盤システム)」を通じて手続きを行います。

2つの申請方法

  • 個別申請:特定の飛行日時・場所をその都度指定して申請します。
  • 包括申請:同一の操縦者が繰り返し飛行させる場合に、最大1年間の期間で、場所を特定せずに申請します。
    • 「業務利用」の範囲:実際の仕事だけでなく、「将来的にプロとして活動するための練習」も業務目的に含まれます。趣味の方でも将来を見据えているのであれば、包括申請の活用が推奨されます。

許可・承認を得るための3つの要件

  1. 機体性能:意図しない人・物件への接触を防ぐプロペラガードの装着など。
  2. 操縦者の技能:十分な飛行経歴(10時間以上等)と知識を有していること。
  3. 安全確保体制:補助者の配置や風速制限など、安全な運用体制が整っていること。

7. 注意点:言葉の定義(以上・未満・以内)に気を付ける

法令やガイドラインを読み解く際は、数値の境界線に注意が必要です。

  • 30m以上:30mを含みます(30.0mちょうどは規制外)。
  • 30m未満:30mを含みません(29.9mは規制対象=承認が必要)。
  • 30m以内:30mを含みます(係留の紐が30.0mちょうどなら緩和対象)。

現場ではGPSの誤差なども考慮し、常に数メートルの余裕を持った距離設計を行うのがプロの鉄則です。

8. まとめ:ルールを守って安全なドローンフライトを

ドローン飛行における「30m」のポイントは以下の通りです。

  • 基本は30mの距離確保:第三者やその建物・車両からは常に30m以上(最短距離)離す。近づくならDIPSでの承認が必須。
  • 緩和措置の賢い活用:高層物付近の点検や、30m以内の係留飛行では一部の申請を省略できる。
  • 業務の定義は広い:包括申請における「業務」には、将来プロを目指す練習も含まれる。

航空法に違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される可能性があります。実際に多くの検挙例が出ています。「知らなかった」では済まされないのが法務の世界です。

判断に迷う場合や、申請手続きが複雑で不安な場合は、ドローン法務を専門とする行政書士や国土交通省のヘルプデスクへ相談し、万全の体制でフライトに臨みましょう。