2022年6月に開始された「無人航空機の機体登録制度」は、ドローンを安全に運用するための根幹となる制度です。
2022年6月以降に機体登録を行ったのであれば知らず知らずのうちに「航空法違反」という刑事罰の対象となるリスクを抱えています。100g以上のドローンを屋外で飛行させるための絶対条件である機体登録について、その更新手続きを、ドローン法務の専門家である行政書士が徹底解説します。
1. 機体登録の有効期間
ドローンの機体登録には、自動車の車検と同様に有効期間が存在します。
- 有効期間: 登録完了から3年間。
- 有効期限の確認方法:
- DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)のマイページ内「機体情報一覧」から確認。
- 登録完了時に送付された「登録完了通知メール」の記載を確認。
複数台を所有している場合、機体ごとに登録日が異なるため、全機体の期限をリストアップして管理することをお勧めします。
2. 更新を忘れた場合の4つの致命的リスクと罰則
有効期限が切れた機体を飛行させることは、単なる手続き漏れではなく、重大な法令違反となります。
- 厳しい刑事罰: 登録を受けずに飛行させた場合、航空法第132条の2に抵触し、航空法第157条の9に基づき「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の対象となります。
- 登録記号の失効(抹消): 期限が切れると既存の登録は完全に抹消されます。再登録時には「JU」から始まる登録記号が新しい番号に変わるため、機体への表示(テプラやデカール等)の貼り替えが必要になります。
- 飛行許可・承認の無効化: 国土交通省から取得している「飛行許可・承認」は、有効な機体登録があることが前提です。登録が切れた機体での飛行は、許可を得ていない飛行とみなされる恐れがあります。
- 保険適用外の可能性: 航空法違反(未登録飛行)の状態で事故を起こした場合、賠償責任保険が適用されないというリスクが極めて高いです。
3. リモートID搭載免除機に関する重要警告
特に注意すべきは、事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録された「リモートID免除機」を運用している方です。
- 免除継続の絶対条件: 登録期限内に更新手続きを完了させることで、引き続きリモートID機器の搭載免除が維持されます。
- 期限切れの代償: 一度でも期限を切らすと、再登録時には「リモートID搭載機」としての登録が必須となります。つまり、高価な外付けリモートID機器を別途購入し、機体に搭載しなければならないという物理的・金銭的な負担が発生します。
【譲渡時の注意点】 リモートID免除機は、DIPS2.0を通じて正しく「譲渡」の手続きを行えば、譲受人(新しいオーナー)に免除ステータスを引き継ぐことが可能です。中古売買の際は、期限を切らす前にこの手続きを行うことが、機体価値を維持するポイントです。
4. 更新手続きのタイミングと「1ヶ月ルール」の罠
更新手続きは「早ければ早いほど良い」わけではありません。適切なタイミングを理解しましょう。
最適な申請時期
- 有効期限の1ヶ月前から: この期間内に更新すれば、現在の満了日の翌日から3年間延長されます(有効期間が短縮されません)。
- 1ヶ月より前: 申請自体は可能ですが、更新が完了した日から3年間となるため、本来の有効期限が切り捨てられ、損をすることになります。
例:満了日が2026年6月19日の場合
- 5月20日に申請: 新しい期限は2029年6月19日(無駄なし)。
- 3月31日に申請: 新しい期限は2029年3月30日(約3ヶ月分をロス)。
更新手数料一覧(1機あたり)
更新手数料は新規登録時と同額です。オンライン申請(特にマイナンバーカード活用)が最も安価です。
| 申請・本人確認方法 | 1機目 | 2機目以降 |
|---|---|---|
| オンライン(マイナンバーカード/GビズID) | 900円 | 890円 |
| オンライン(運転免許証/パスポート等) | 1,450円 | 1,050円 |
| 郵送申請(書類一式を郵送) | 2,400円 | 2,000円 |
5. DIPS2.0での更新ステップ
更新手続きは、DIPS2.0(https://dips2.mlit.go.jp)から以下のステップで行います。
- ログイン: 登録時と同じアカウントでログインします。
- メニュー選択:
DIPS2.0トップページ > 無人航空機の登録申請へ > 有効期間の更新を選択します。 - 機体の選択: 更新したい機体の左側にあるチェックボックスにチェックを入れ、「有効期間の更新」ボタンを押します。
- 情報の確認・提出: 登録内容に変更(住所等)がないか確認し、本人確認を行って申請を提出します。
- 手数料の納付: 申請後に送信されるメールの指示に従い、手数料を納付して完了です。
6. まとめと専門家への相談案内
「有効期限の1ヶ月前」になったら即座に更新を行うことを強く推奨します。
特に複数機の管理を行っている事業者様や、リモートID免除の権利を確実に守りたい方、手続きの煩雑さを避けたい方は、行政書士による専門サポートをご活用ください。