【2026年最新版】ドローン撮影の許可取得・法令ガイド①

1. 導入:ドローン撮影を安全に行うための最重要原則

ドローン撮影を安全かつ合法的に実施するためには、適用される法令やルールを正確に把握し、適切な手続きを行うことが必須です。ドローンを飛行させる際の最も重要となる大原則は以下の通りです。

【最重要原則】ドローン撮影の許可は「2つの独立した許可」が両方必要

ドローンを飛行・撮影する際は、「① 航空法に基づく国土交通省の許可・承認」と「② 飛行場所・施設の管理者の許可」の両方を独立して取得しなければなりません。

  • ① 航空法の許可・承認(国交省):DID(人口集中地区)、夜間、目視外、30m未満などの特定飛行に関する「空の交通ルール」
  • ② 場所・施設の許可(土地管理者):河川敷、港湾、公園、国有林、私有地、神社仏閣などの「土地・施設の利用ルール」

※片方の許可を取得しただけでは飛行できません。「DIPS2.0で国交省の包括許可を得たからどこでも自由に飛ばせる」という解釈は明確な誤りであり、無断飛行として不動産侵入罪や自治体条例違反、重大なトラブルの対象となるため厳重な注意が必要です。


2. 2026年7月施行:小型無人機等飛行禁止法の重要改正ポイント

2026年7月14日、「小型無人機等飛行禁止法の一部を改正する法律」(令和8年法律第47号)が施行されました。これにより重要施設周辺における飛行禁止区域の指定ルールが大幅に強化されています。

主な改正点と重要ポイント

  • 飛行禁止区域の拡大 国会議事堂、首相官邸、皇居、自衛隊施設、在日米軍施設、対象空港、原子力事業所等の周辺飛行禁止区域が、従来の「約300m」から「おおむね1,000m」へ大幅に拡大されました。
  • 対象施設の追加と主要基地・空港の例 対象特別要人所在施設や国際会議用の会議場施設等のほか、成田・羽田など対象8空港の周辺おおむね1,000m(国交省告示第813号)も対象に含まれます。
    • 首都圏の主要対象施設例:横田基地(東京都福生市等)、入間基地(埼玉県狭山市等)、朝霞駐屯地(埼玉県朝霞市等)など。
  • 機体重量に関わらない一律適用(100gの壁なし) 重量100g未満のトイドローンや小型機であっても例外なく規制対象となります。
  • 同意がある場合の事前通報義務 施設管理者や土地所有者の同意を得て飛行させる例外的な場合であっても、都道府県公安委員会(管轄警察署)等への事前の通報手続きが法的に必須です。

区域の定義と違反時の罰則

小型無人機等飛行禁止法に基づく区域は「レッドゾーン」と「イエローゾーン」に区分され、厳しい罰則が定められています。

区分対象エリア罰則内容
レッドゾーン対象施設の敷地・区域の上空1年以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金(警察官等の退去命令違反も含む)
イエローゾーン対象施設の周囲おおむね1,000mの上空6月以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金

※飛行禁止区域(レッドゾーン・イエローゾーン)の具体的な範囲は、国土地理院の「地理院地図」で視覚的に確認できるほか、対象施設の指定状況・改正詳細は警察庁の公式ページにて公開されています。


3. 許可・承認の判断基準(機体重量・飛行カテゴリー・飛行レベル)

3.1 機体重量による規制の違い(100gの壁)

航空法における「無人航空機」の定義は機体重量100g以上(バッテリー等の取り外し可能な構造物を含む総重量)です。100g未満と100g以上では、航空法上の扱いが異なります。

項目100g未満の機体(例:DJI Mini 2 SE等)100g以上の機体(例:DJI Air 3、Mavic 3等)
航空法上の扱い「無人航空機」の飛行方法規制は原則対象外「無人航空機」として航空法がフル適用
機体登録(JU番号)不要必須(未登録飛行は罰則あり)
特定飛行の許可・承認不要特定飛行に該当する場合は必須
飛行計画通報(DIPS2.0)不要特定飛行時は義務

「100g未満なら何をしても大丈夫」という誤解の解消

100g未満の小型機であっても、あらゆる規制から免除されるわけではありません。以下の規制や許可手続きは機体重量に関係なく一律適用されます。

  • 航空法(特定空域):空港周辺上空、地表150m以上、緊急用務空域での飛行禁止
  • 小型無人機等飛行禁止法:重要施設およびその周囲おおむね1,000m以内の飛行禁止
  • 地方自治体の条例:都立公園・県営公園・市区町村公園等での飛行禁止(200g未満・100g未満も対象)
  • 土地管理者の許可:私有地、神社仏閣、山林、河川敷等における管理者ルール・民法上の土地所有権

3.2 飛行カテゴリー(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)と飛行レベル(1〜4)

航空法では、飛行のリスクに応じた3つの「飛行カテゴリー」が設定されています。

  • カテゴリーⅠ(申請不要):特定飛行に該当しないリスクの低い飛行。
  • カテゴリーⅡ(要申請・一部免除あり):立入管理措置(補助者の配置や区画設定等)を講じた上で行う特定飛行(DID、夜間、目視外、30m未満等)。個別申請または包括申請が必要。技能証明(国家資格)保有および機体認証取得により一部申請が不要となる制度もあります。
  • カテゴリーⅢ(最も厳格):立入管理措置を講じない第三者上空での目視外飛行(レベル4)。一等無人航空機操縦士資格および第一種機体認証が必須。

飛行レベル(1〜4)とカテゴリーの対応一覧

飛行レベル飛行の概要該当カテゴリー
レベル1目視内での手動操縦(一般的な空撮・景観撮影・練習等)カテゴリーⅠ 〜 Ⅱ
レベル2目視内での自動・自律飛行(ウェイポイント飛行等)カテゴリーⅠ 〜 Ⅱ
レベル3無人地帯における補助者ありの目視外飛行カテゴリーⅡ
レベル3.5無人地帯における補助者なしの目視外飛行(国家資格+第二種機体認証+機上カメラが必要)カテゴリーⅡ
レベル4有人地帯上空における目視外飛行(第三者上空での配送・点検等/一等資格+第一種機体認証必須)カテゴリーⅢ

カテゴリーⅠ(国交省への申請不要)となるための必須条件

以下の条件をすべて満たす場合のみ、国交省への許可・承認申請が不要(カテゴリーⅠ)となります。

  • 機体重量100g以上の場合、機体登録(JU番号)手続きが完了していること
  • 飛行場所がDID(人口集中地区)の外であること
  • 飛行高度が地表・水面から150m未満であること
  • 飛行時間が**日出から日没まで(日中)**であること
  • 操縦者の直接の目視内で飛行させること(FPVゴーグルやモニターのみの操作は不可)
  • 第三者や第三者の物件(建物・車両等)から30m以上の距離を確保すること
  • イベント・催し物の上空ではないこと
  • 危険物の輸送や物件の投下を行わないこと
  • 空港周辺や緊急用務空域ではないこと

※カテゴリーⅠであっても、飛行場所の土地・施設管理者への許可取得は別途必須です。


4. ドローン撮影許可取得の全体フローとスケジュール

ドローン撮影を行う際は、手続きの順番を守って進める必要があります。特定飛行を行う場合の標準的なフローとスケジュールは以下の通りです。

  1. DIPS2.0での機体登録および飛行許可・承認申請(国土交通省)
    • 期限の目安:飛行予定日の10開庁日前まで
    • DIPS2.0にて機体登録(JU番号取得)を行い、特定飛行に該当する場合は東京航空局等へ許可・承認申請を行います。
  2. 飛行場所の管理者へ許可申請・調整
    • 期限の目安:施設・管理者により異なる(1週間前〜10開庁日前まで)
    • 河川事務所、港湾局、森林管理署、公園管理者、土地所有者等へ直接申請・確認を行います。
  3. 管轄警察署への道路使用許可申請(必要な場合のみ)
    • 期限の目安:撮影日の数日前〜1週間前まで
    • 道路上に撮影機材、案内看板、安全誘導員(補助者)を配置する場合に、道路交通法第77条に基づく申請を行います。
  4. DIPS2.0での飛行計画の通報
    • 期限の目安:飛行開始前まで
    • 特定飛行を行う場合は、DIPS2.0上で飛行日時・経路等の計画通報が法的に義務付けられています。

【注意】スケジュール設計時の例外・落とし穴

  • 一時使用届の性質:河川等への「一時使用届」は自由使用の一環であり、場所の優先利用や独占利用を認めるものではありません。他の利用者がいた場合は現地での調整が必要です。
  • イベント等の事前期限:参加者を公募するマラソン大会やイベント撮影等で河川敷を利用する場合、「募集開始日」の10開庁日前までに一時使用届を出す必要があります。
  • イベント上空の個別申請:イベント上空の個別申請は、主催者承諾書の取得や国交省審査に1〜2ヶ月を要する場合があるため、早期着手が必要です。

5. 【場所別】ドローン撮影の申請方法クイックガイド


5.2 河川(国管理・都道府県管理)での撮影

河川敷や水上での撮影は、国管理の一級河川か都道府県管理の河川かによって窓口が異なります。

国管理河川(一級河川)のルールと主要事務所

  • 荒川上流河川事務所(荒川、入間川、越辺川、高麗川、都幾川等)
    • TEL:049-246-6371 / FAX:049-246-7282(住所:埼玉県川越市新宿町3-12)
    • 河川法上の許可は自由使用の範囲内であれば原則不要ですが、商業撮影等で排他的利用を伴う場合は利用の10開庁日前までに「一時使用届」の提出が必要です。
    • 禁止区域の指定:彩湖周辺および芝川第一調節池は独自ルールによりドローン飛行が全面禁止されています。
  • 利根川上流河川事務所(利根川の埼玉・群馬県境〜茨城方面)
    • TEL:0480-52-3952(住所:埼玉県久喜市栗橋北2-19-1)
    • 飛行前に電話で管理区間や禁止区域の事前確認が必要です。商業撮影時は一時使用届を提出します。
  • 京浜河川事務所(多摩川、鶴見川、相模川)
    • TEL:045-503-4000(住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央2-18-1)
    • 厳格なローカルルール:多摩川の占用グラウンド等以外の自由使用区域での撮影は土日祝日の飛行が不可と定められています。また、「生態系保持空間」への立入および飛行は禁止です。一時使用届は10開庁日前までに最寄り出張所へ提出します。

埼玉県管理河川(県土整備事務所一覧)

埼玉県が管理する河川での商業撮影やイベント撮影時は、利用日の10開庁日前までに管轄の県土整備事務所へ「一時使用届」を提出する必要があります(公募イベントは募集開始日の10開庁日前まで)。

事務所名主な管轄地域連絡先電話番号・FAX番号
さいたま県土整備事務所さいたま市、上尾市、伊奈町、蓮田市、白岡市等TEL: 048-861-2495 / FAX: 048-861-9010
北本県土整備事務所鴻巣市、桶川市、北本市等TEL: 048-540-8200 / FAX: 048-540-8203
川越県土整備事務所川越市、所沢市、狭山市、富士見市、ふじみ野市等TEL: 049-243-2021 / FAX: 049-243-2025
飯能県土整備事務所飯能市、日高市、入間市、毛呂山町、越生町等TEL: 042-973-2285 / FAX: 042-973-2286
東松山県土整備事務所東松山市、滑川町、嵐山町、小川町、川島町、吉見町等TEL: 0493-22-2445 / FAX: 0493-21-1214

※一時使用届は独占利用を認めるものではないため、他の利用者と重複した場合は現場での協議・調整が必要です。


5.3 港・港湾・漁港での撮影

東京港における申請窓口の分割

東京港の港湾区域では、令和6年4月改定の運用方針に基づき、撮影対象が「水域」か「施設」かによって窓口が明確に分かれています。

  • 東京都港湾局 経営課 水域担当(TEL: 03-5320-5552)
    • 対象:海面上空の水域
    • 必要書類:国交省の許可・承認書写し(様式1含む)、船舶航行安全確保対策確認書、海上保安部との事前調整資料等。
  • 東京都港湾局 経営課 施設担当(TEL: 03-5320-5556)
    • 対象:ふ頭、岸壁、倉庫、各種ターミナル施設等
    • 提出条件:港湾機能への支障がないこと、報道・公益目的等の正当な理由、国交省発行の許可書写し等。民間施設上空は施設管理者への確認も必要です。
  • お台場海浜公園管理事務所(TEL: 03-5500-2455)
    • 対象:お台場海浜公園・台場公園内での撮影。管理事務所への申請と併せ、港湾局への申請が必要な場合があります。

漁港での撮影

東京都産業労働局農林水産部(TEL: 03-5320-4849)または該当する各漁港管理者(市区町村・地元漁業協同組合等)へ個別許可を申請します。「都道府県漁業調整規則」等の遵守も求められます。


5.4 山・国有林・国立公園での撮影

国有林での手続き(入林届の提出)

国有林内でドローンを飛行させる場合は、事前に森林管理署・事務所へ「入林届(様式第73号)」の提出が必要です。

  • 埼玉森林管理事務所(奥秩父、両神山、雲取山等)
    • TEL:0494-23-1260 / FAX:0494-23-1262(秩父市大野原491-1)
    • 原則1週間前までに持参またはメールで提出。
  • 東京神奈川森林管理署(奥多摩、伊豆諸島、神奈川国有林等)
    • TEL:0463-32-2867(神奈川県平塚市立野町38-2)
    • 土日祝を除く1週間前までに事前のメール相談が必須。高尾山エリアは公共・防災目的以外のドローン使用が不可となっています。

【現場安全対策・義務】国有林撮影時の必須注意事項

  • 入林届の現地携帯義務:現地へ入林する際は、交付された**「入林届の写し」を必ず携行**してください。森林官等の巡視時に提示を求められます。
  • クマ出没・野生動物対策:奥秩父・奥多摩エリアではクマの出没情報が多発しています。音が出る鈴の着用やクマ撃退スプレーの携行など、十分な安全装備を整えて入林してください。

国有林 入林チェックリスト

  • [ ] 飛行エリアが国有林に該当するか国有林野図面等で確認した
  • [ ] 管轄の森林管理署・事務所へ電話/メールで事前相談を行った
  • [ ] 入林届(様式第73号)を作成した
  • [ ] 飛行区域および離発着場所を明示した位置図を作成した
  • [ ] 機体登録番号(JU番号)を証明できる資料を準備した
  • [ ] 特定飛行に該当する場合、国交省の許可・承認書の写しを準備した
  • [ ] 予定日の1週間前までに書類を提出・受理された
  • [ ] 「入林届の写し」を撮影当日に現場携行する準備をした
  • [ ] クマ出没情報を確認し、クマ鈴・スプレー等の安全装備を用意した

国立公園での手続き

関東地方環境事務所(TEL: 048-600-0516)や各自然保護官事務所(奥多摩自然保護官事務所 TEL: 0428-83-2157等)の管轄となります。自然公園法に基づき、特に「特別保護地区」や「第1種特別地域」内でのドローン飛行は環境・生態系保護の観点から原則禁止または厳格に制限されます。


5.5 公園での撮影(原則禁止のルール)

東京都立公園、埼玉県営公園、さいたま市都市公園をはじめ、大半の都市公園・自治体管理公園では条例によりドローンの飛行が原則禁止されています。

※200g未満や100g未満の小型機であっても禁止対象となります。国家資格保有者やDIPS2.0許可保持者であっても、公園管理者の個別許可がない限り飛行できません。

相談・許可の可能性があるケースと不許可となるケース

区分具体例・条件
相談・許可の可能性があるケース・映画、テレビCM、ドラマ等の商業ロケーション撮影・自治体の観光PR動画撮影など明確な公益性がある場合・開園時間外や閉鎖空間など、一般第三者が一切立ち入らない環境
まず許可が出ないケース・個人の練習、趣味、景観撮影目的・一般の公園利用者が存在する時間帯での撮影<br>・安全管理区画(立入禁止区域)が設定できない場合

5.6 私有地・神社仏閣・学校での撮影

民法の観点から、土地の所有権は地上・地下に及びます。私有地や建物上空で撮影を行う場合は、必ず事前の直接交渉と書面による許可取得が必要です。

  • 私有地・空き地:所有者が不明な場合は、法務局の登記情報提供サービス等で登記情報を確認し、承諾を得ます。無断で敷地内に入り離発着させた場合は不動産侵入罪や住居侵入罪に問われるリスクがあります。
  • 神社・仏閣・文化財:境内の宮司や住職の許可が必要です。七五三や各種行事で人が集まる場合は「催し場所上空」の規制が適用されるケースがあります。国宝・重要文化財指定の構造物周辺では、文化財保護法に基づく「現状変更等の許可」(文化庁 TEL: 03-5253-4111 / 埼玉県教育局文化資源課 TEL: 048-830-6915 または 048-830-2993)が必要となる場合があります。
  • 学校・教育施設:校長の許可および教育委員会への事前確認が必要です。安全対策として児童・生徒や教職員への事前説明を実施し、包括申請ではなく個別申請で手続きを進めることが強く推奨されます。

5.7 イベント・催し物上空での撮影(個別申請必須)

花火大会、屋外コンサート、マラソン大会、祭礼、展示会など、特定多数の人が集まる「催し物(イベント)」の上空でドローンを飛行させる場合は、極めて高い安全管理が求められます。

  • 包括申請の不可:イベント上空での飛行は、日本全国を対象とした年間包括許可・承認の対象外です。飛行日時・場所・高度・安全対策を特定した「個別申請」のみ受付可能です。
  • 主催者の承諾書:DIPS2.0での国交省への個別申請時には、「イベント主催者の承諾書」の添付が必須となります。
  • 準備期間:審査や関係各所との調整に時間を要するため、撮影日の1〜2ヶ月前から準備を開始することが推奨されます。

5.8 道路使用許可(警察署)

ドローン本体の飛行そのものではなく、道路上にスタッフ、撮影機材、案内看板、バリケード等を配置する場合は、道路交通法第77条に基づく「道路使用許可」を管轄警察署に申請する必要があります。

申請の手続き手順

  1. 撮影場所を管轄する警察署(交通課)を確認する。
  2. 事前に交通課窓口へ相談し、必要な書類・図面を確認する。
  3. 道路使用許可申請書を作成し、位置図、現場配置図、安全対策図を添付する。
  4. 撮影日の数日〜1週間前までに管轄警察署へ提出し、許可証の交付を受ける。