【2026年最新】ドローンの夜間飛行ガイド:申請手順・安全対策・知っておくべき「落とし穴」を徹底解説

ドローンによる夜景空撮や、夜間の警備・インフラ点検といった産業利用への関心は、2026年現在ますます高まっています。しかし、夜間飛行は昼間よりもリスクが高いため、航空法によって厳格に規制されていることを忘れてはなりません。

本記事では、ドローン法務・登録実務のエキスパートの視点から、夜間飛行を実現するための最新ルールや具体的な申請手順、そして多くのプロさえも見落としがちな「落とし穴」について徹底解説します。


1. はじめに:夜間飛行の魅力と法規制の重要性

夜間のドローン飛行は、幻想的な都市の灯りやライトアップされた建物を捉えることができる大きな魅力があります。一方で、視界が悪く障害物の発見が遅れやすいため、航空法では以下の4つのカテゴリーからなる「特定飛行」のひとつに指定されています。

  • 人口集中地区(DID)の上空
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人又は物件から30m以内の飛行

これらに該当する飛行を行うには、原則として国土交通大臣の承認が必要です。もし無許可で夜間飛行を行った場合、航空法違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金という非常に厳しい罰則が科せられます。「知らなかった」では済まされないため、事前のルール把握を徹底しましょう。

2. 「夜間飛行」の正確な定義:いつからいつまでが「夜」?

航空法における「夜間」は、単に「暗くなったら」という主観的な判断ではなく、「日没後から日の出前まで」と明確に定義されています。

ここで最も注意すべきは、「市民薄明(日没直後などで周囲がまだ明るく感じる時間帯)であっても、法的には夜間である」という点です。日出・日没の時刻は地域や季節によって分単位で異なるため、国立天文台が提供する「こよみの計算」を用いてピンポイントで確認する必要があります。

【正確な時刻の調べ方:プロの推奨手順】

  1. 「こよみの計算」サイトへアクセス: 国立天文台の公式サイト内にあるシステムを利用します。
  2. 「地理院地図」で地点を指定: 住所検索よりも、地図上で飛行地点を直接クリックする「地理院地図で選ぶ」方法が最も正確な座標(緯度・経度)を取得できます。
  3. 飛行予定日の指定: 日付を入力し「Go」ボタンを押します。
  4. 「出」と「入り」の時刻確認: 算出された「入り(日没)」から「出(日の出)」までの1分1秒が、承認が必要な「夜間」となります。

3. 夜間飛行を実現するための3つのルート

2026年現在、夜間飛行を行うには主に以下の3つの選択肢があります。

  • ルート1:国家資格(技能証明)+機体認証 二等以上の国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を保有し、かつ「夜間飛行の限定解除(昼間限定解除)」の試験に合格している場合に限ります。また、機体も国が認証したもの(例:DJI Mini 4 Proなどの型式認証機)を使用することで、立入管理措置を講じる等の条件下で申請を省略できるケースがあり、非常に現実的な選択肢となっています。
  • ルート2:係留飛行 十分な強度の紐(30m以内)などでドローンを固定して飛ばす方法です。一定の安全条件を満たせば、夜間飛行であっても承認が不要になるなどの規制緩和が適用されます。
  • ルート3:国土交通省への承認申請(DIPS2.0) 最も一般的な方法です。オンライン申請システム「DIPS2.0」を通じて、事前に大臣の承認を取得します。

4. DIPS2.0での飛行許可・承認申請ステップ

DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)を使用した、確実な申請フローを解説します。

  • STEP 1:事前確認 「DID地区」や「空港周辺」など、他の特定飛行との重複がないか地図機能で確認します。
  • STEP 2:DIPS2.0での申請 飛行予定日の2〜3週間前には申請を行いましょう。審査には通常10開庁日(土日祝を除く、役所が動いている日)程度の期間が必要です。カレンダー上の「10日間」ではないため注意してください。
  • STEP 3:許可証の携行 審査通過後、発行された許可証はスマホに保存するか印刷して、必ず現場に携行してください。
  • STEP 4:飛行計画の通報 飛行開始前までに、DIPS2.0から「いつ、どこで、どの機体で飛ばすか」という飛行計画を登録します。
  • STEP 5:飛行後の通報と日誌記録 飛行終了後は速やかに終了通報を行います。また、法律で義務付けられている「飛行日誌」への記録は、行政書士の立場からも強く推奨する法定義務です。

5. 必須の安全対策と装備品

夜間飛行を安全、かつ適法に行うための必須条件は以下の通りです。

  • 灯火の装備: 機体の向き(前後左右)が正確に識別できる高輝度LEDなどの灯火が必要です。※スタジアム等のナイター設備で飛行範囲全体が十分に照らされている場合のみ、例外として認められることがあります。
  • 補助者の配置: 周囲の状況や障害物を監視するため、操縦者以外に補助者を配置することが義務付けられています。
  • 機体点検: 暗所での点検は見落としを招きます。必ず明るい昼間のうちに各部のチェックを済ませましょう。
  • バッテリー管理: 夜間は気温が低下しやすく、電圧低下のリスクがあります。フライト前に十分に予熱するなどの対策が不可欠です。
  • 離着陸場所: 足元が不安定な場所を避け、照明等で安全が確保されたエリアを用意してください。

6. 【重要】包括申請における夜間飛行の「落とし穴」

「飛行場所を特定しない包括申請」は便利ですが、夜間飛行においては致命的な制限が存在します。ここが専門家の最も強調したいポイントです。

  • 落とし穴1:DID(人口集中地区)× 夜間飛行の禁止 国土交通省の「標準マニュアル02(包括申請用)」では、「DID地区での夜間飛行は行わない」と明記されています。つまり、包括申請の許可を持っていても、夜の街中で飛ばすことはできません。かつては独自マニュアルで可能だった時期もありましたが、2019年の皇居周辺でのドローン事案以降、審査が極めて厳格化され、現在では事実上認められない運用となっています。
  • 落とし穴2:目視外飛行 × 夜間飛行の禁止 標準マニュアルでは、夜間は「機体の灯火を直接目で確認できる範囲」に限定されています。モニター越しに飛ばす「目視外飛行」との組み合わせも、包括申請では認められません。

これらの組み合わせ(例:夜の街中での空撮など)を行いたい場合は、日時と場所を特定した「個別申請」を行い、厳格な安全対策を提示して承認を得る必要があります。

7. よくある質問(FAQ)

Q. 日没直後でまだ明るいのですが、10分だけの飛行でも申請は必要ですか? A. はい、必須です。 航空法上、日没時刻を1分でも過ぎれば「夜間」です。この数分の油断が法令違反に繋がります。

Q. 申請にかかる費用はいくらですか? A. DIPS2.0での申請自体は無料です。 ただし、手続きの複雑さや「独自マニュアル」の作成をプロ(行政書士)に依頼する場合は、別途報酬が発生します。

8. まとめ

ドローンの夜間飛行を成功させるためのポイントを振り返ります。

  • 「夜間」とは日没から日の出まで。国立天文台のデータで分単位の確認を。
  • 無許可飛行は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」の対象。
  • 国家資格保持者でも「夜間限定解除」がなければ申請省略は不可。
  • 包括申請では「DID×夜間」「目視外×夜間」は行えない。
  • 審査期間は「10開庁日」。余裕を持ったスケジュール管理を。

夜間の空撮は素晴らしい成果をもたらしますが、それは徹底した法令遵守と安全対策があってこそのものです。常に最新の規制情報(2026年版)をチェックし、飛行日誌の記録を怠らず、安全なドローンライフを楽しんでください。