【完全ガイド】ドローンによる屋根・外壁点検のメリット・デメリットと必須の法規制・飛行許可手続き②

4.2 ドローン点検開始までの6つのステップ

ドローンを購入してから実際の点検現場で法的に適合したフライトを行い、記録を保存するまでの標準的なステップは以下の通りです。なお、国交省への許可・承認申請手続き自体にかかる行政手数料は無料です。

【Step 1】DIPS2.0 アカウント開設(個人・法人アカウントの設定)
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【Step 2】機体登録と登録記号の表示(リモートID対応)
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【Step 3】DIPS2.0による飛行許可・承認申請(包括申請)
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【Step 4】現場の事前確認・関係者調整・安全対策の策定
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【Step 5】DIPS2.0による「飛行計画の通報」(フライト前)
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【Step 6】点検実施と「飛行日誌」の作成・法定保管
  1. DIPS2.0 アカウント開設: 国土交通省の「DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)」にてアカウントを開設します。複数の操縦者が所属する企業や法人の場合は、「法人アカウント」を開設し、配下の操縦者情報を紐づけて一元管理する体制を推奨します。
  2. 機体登録(100g以上の機体が対象): 重量100g以上のすべてのドローンをDIPS2.0上で登録申請します。発行された「登録記号」を機体表面に耐久性のある方法で表示し、リモートID機能を有効化(内蔵または外付け)します。
  3. 飛行許可・承認申請(包括申請の発行): DIPS2.0を通じて、屋根・外壁点検に必要な項目(「DID上空」「30m未満」「目視外」等)を網羅した包括申請を行います。審査完了後、電子許可・承認書が交付されます。
  4. 飛行場所の事前確認と現地調整: 点検対象の現場が空港周辺や緊急用務空域、自治体条例の制限区域に該当しないかをDIPS2.0マップ等で事前確認します。あわせて施主や近隣住民への説明・調整を行います。
  5. DIPS2.0による飛行計画の通報: 特定飛行を行う際は、実際にフライトを始める前に、DIPS2.0上で飛行日時、場所、高度、操縦者、安全対策等を登録・通報しなければなりません(他の航空機やドローンとの異常接近・衝突を防ぐための法的義務です)。
  6. 点検実施と飛行日誌の記録・保管: 許可承認通知書および安全マニュアルを携行して安全第一で点検を実施します。フライト終了後は、法令で定められた「飛行日誌(①飛行記録 ②日常点検記録 ③点検整備記録)」を正確に作成し、遅滞なく保管・更新します。

5. 航空法以外の関連法規と現場でつまずかないための調整・リスク管理

5.1 航空法以外に注意すべき法律・条例(「6法6所管」の全体像)

ドローンをビジネスで運用する際、遵守すべき法令は航空法にとどまりません。日本の法体系においては、主に**「6つの省庁が管轄する6つの関連法律(6法6所管)」**を中心に多角的なリーガルチェックが求められます。

  • 小型無人機等飛行禁止法(警察庁・防衛省等): 国会議事堂、皇居、原子力発電所、防衛関係施設、外国公館などの重要施設およびその周囲おおむね300mの上空は飛行が厳重に禁止されています。本法律は重量100g未満のトイドローン等も一律に規制対象となります(飛行させる場合は管理者同意と都道府県公安委員会・警察署への事前通報が必須)。
  • 道路交通法(警察庁): ドローンの発着場所として公道(道路)を使用する場合や、道路上に離着陸機材・案内補助員・カラーコーン等を配置して通行に影響を与える場合は、所轄警察署長から「道路使用許可」を取得する必要があります。
  • 地方自治体の条例(都道府県・市区町村): 都道府県や各市町村が独自に制定する条例により、都立公園・市立公園、海岸、河川敷、特定の公共施設周辺でのドローン飛行・発着が全面禁止または許可制とされているケースが多々あります。
  • 国有林野法・河川法(林野庁・国土交通省河川局): 国有林野内での飛行や、一級河川等の河川敷・水域でドローンをフライトさせる場合、事前に森林管理署や河川事務所へ入林届・一時使用届などの事前手続きが必要になる場合があります。
  • 民法(法務省): 土地の所有権は「その土地の上空および地下」に及びます(民法第207条)。他人の私有地や隣家の上空を無断で飛行・通過させた場合、所有権侵害やプライバシー侵害、肖像権侵害として損害賠償請求やトラブルに発展するリスクがあります。

5.2 現場での安全管理体制と関係者への調整事項

包括申請の審査をパスし、実際の現場で安全に運用するためには、操縦者に**「10時間以上の飛行経験」があることが要件となります。また、国土交通省が提供する標準飛行マニュアルをそのまま使用するだけでなく、屋根・外壁点検特有の危険要因(住宅密接、電線干渉、突風等)に対応した独自の手順・安全マニュアル**を整備することが推奨されます。

【立入管理措置(第三者の立入制限)の考え方】

点検時には、第三者が飛行範囲内に立ち入らないよう立入管理措置を講じる必要があります。基本は「補助者(監視員)の配置」ですが、現場の敷地条件に応じ、カラーコーン、コーンバー、立ち入り禁止看板、仮設フェンス等を明示的に設置して第三者の進入を物理的に遮断・管理できる場合は、慎重な現場評価のもとで補助者配置を補完または代替させる運用も可能です。

また、事故発生時の賠償リスクに備え、最高1億円〜数億円規模の第三者賠償責任保険(対人・対物)への加入は事業運用上の絶対条件となります。

トラブルを未然に防ぐための主要調整先一覧

調整先具体的な対応内容と注意点
依頼者(施主)敷地および建物上空の飛行同意の取得。点検当日の立ち会い確認。撮影データ(画像・映像)の利用目的およびプライバシー保護方針の事前説明。
隣接住戸・近隣所有者隣地上空を直接通過しない場合であっても、近隣トラブル防止のため、点検日時・目的・安全対策を記載したチラシ等で事前に丁寧な周知(挨拶・声かけ)を実施。
通行人・路上駐車(第三者)補助者による監視・声かけを実施。カラーコーンや標識で立ち入り禁止区域を明示し、第三者の人・物件から30m以上の距離を保持できるルートを確保。
地方自治体(公園・道路担当)周辺の公園、離着陸で使用する可能性のある公共スペース、地域固有のドローン規制条例の有無を事前確認。
所轄警察署住宅街でのドローン飛行は近隣住民からの110番通報リスクが高いため、事前にフライト日時・場所・包括許可の旨を連絡(情報共有)しておくことで現場の不要な混乱を防止。

6. ドローン点検に必要な資格とおすすめの機体スペック

6.1 国家資格(無人航空機操縦士)の必要性

結論から言うと、現在の制度下において、屋根・外壁点検業務を行うために国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)の保持は法律上の必須条件ではありません。民間資格の保持者や資格未取得者であっても、十分な操縦訓練を行い、DIPS2.0にて適切な許可・承認を取得していれば、合法的に点検業務を遂行できます。

しかしながら、二等無人航空機操縦士以上の国家資格を取得しておくことで、以下の大きなメリットが得られます。

  • 国土交通省への許可・承認申請時における一部提出書類の省略・審査の迅速化。
  • 施主、大手ハウスメーカー、元請け建設会社に対する客観的な技能・知識の証明(高い社会的信頼性の獲得)。
  • コンプライアンス遵守を重視する法人顧客からの受注獲得における優位性。


7. まとめと専門家(行政書士)への相談

  • 住宅街の点検は「特定飛行」の重複指定が標準: 住宅地における屋根・外壁点検は、「DID上空」「30m未満」「目視外」などの特定飛行が重なるため、適切な許可・承認手続きが実質的に必須となります。
  • 包括申請による業務効率化: 全国で反復的に点検を行う事業者は、最長1年間有効な「包括申請(全国対応)」を取得・更新していく運用が実務上の標準です。
  • 周辺法規と現場調整: 航空法だけでなく、小型無人機等飛行禁止法や道路交通法、自治体条例などの関連法規を遵守し、近隣住民への事前周知や補助者・立入管理措置を徹底する必要があります。
  • 通報と飛行日誌の法定義務履行: 許可取得後も、フライト前の「DIPS2.0飛行計画の通報」と、フライト後の「飛行日誌の記録・法定保管」を欠かさず実施する体制づくりが不可欠です。

ドローンに関連する航空法規や関係法令は、技術の進化や事故防止の観点から頻繁に法改正が行われており、運用ルールも非常に精密かつ複雑です。自社の点検業務内容に合わせた適切な特定飛行の判定、補正指示のないスムーズな許可・承認の取得、あるいは現場の実情にマッチした独自飛行マニュアルの作成に不安がある場合は、ドローン飛行許可・航空法許認可に精通した専門の行政書士へ相談することをおすすめします。

法務のプロによるサポートを活用することで、申請手続きに伴う膨大な労力と差し戻しリスクを削減し、コンプライアンスを徹底した安全で持続可能なドローン点検ビジネスを構築していきましょう。